旬でない映画とドラマの感想文

映画を肴に人間観察・全編ネタバレあり

映画【町田くんの世界】*「愛とは何か」「人間は如何に生きるべきか」という哲学的な問いを提示するギャグドラマ。

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出典:映画.com

 

  

◆基本情報◆

公開:2019年

原作:安藤ゆき(別冊マーガレット)

監督:石井裕也

脚本:片岡翔、石井裕也

主演:細田佳央太

  :関水渚

  :前田敦子

 

あらすじ

高校生の町田一は運動も勉強も苦手だが、人を愛する事にはずば抜けた才能を持っている。誰にでもやさしく親切で、同級生から「キリスト」と呼ばれている町田くん。

町田くんはある事がきっかけで、同じクラスの猪原奈々と出会う。自分とは全く違う奈々に戸惑いながらも、町田くんはそれまで感じたことがなかった<恋する気持ち>に気付いていく。

 

 

R-15が続きましたので、今回は爽やかなこの映画です。

 

単純に面白い映画でした。

雑な場面もありますが、全体的には上手くまとまっています。

 

前田敦子&高畑充希が高校生には見えないという問題は映画では良くある事なのでいいとして、町田くん役の細田佳央太さんが好演でした。 

 

原作を試し読みで読んだのですが(買え!)、映画とは随分雰囲気が違うなぁという感じがします。

 

町田くんの<ほのぼの感>は、原作の方が上手く出てるような…。

 

映画では<ギャグ>のようにも見えてしまう町田くんの行動も、原作ではもっと自然な感じです(全部読んでないんですけど…)。

 

でも映画は映画で面白いので、今回は映画だけの感想文です

 

仏になった高校生

  

町田くんは、幼い頃に井戸に落ちて頭を打ってしまいます。

 

俺、小さい頃、井戸に落ちて頭を打って、それで死んだんだ。

死んだと思ったけど生きてた…いや、生き返ったのかも…

たぶんそれが原因で、俺は何をやってもダメな人間になっちゃった。

でもあの時、確かに人の温かさを感じられた。

 

町田くんのような人は、普通はいないです。

 

井戸に落ちたでも何でもいいんですが、町田くんが町田くんである理由や原因が必要なくらい、町田くんは普通では存在しないような人です。

 

あの野郎、とんでもないな。全人類を自分の家族だと思ってる 。 

 

町田くんは仏か天使か。

彼には煩悩というものがほとんどない。

 

町田くんの心の中は静かな水のようで、波もたたず、流れていくこともない。

 

古今東西、人は町田くんのようになりたくて、出家をしたり、山奥で修行に励んだり、学問に一生を捧げたり、いろいろ苦労してきたんですよね。

 

でもそうそう町田くんになれるもんではない。

 

人が人のままで仏になることは不可能だから、せいぜい人との接触を避けて、煩悩が発動しないようにしておくしかないんです。

 

町田くんとは何か 

 

 

町田くんは「自分の気持ち」に気づくためのコーチのような人。答えは出さずに、相手の考えを噴き出してくれる人。

 

本当は自分はどうしたいのか?

 

それに気づくためには自分自身との問答が必要で、ああでもない、こうでもないと考えているうちに道が見えてくる。

 

だた自分一人でこの作業をやっていると、必ず煮詰まる。

だから町田くんのような存在が必要なんですよね。

 

人は町田くんと話しているようで、実は自分と話をしているんでしょう

 

「愛とは何か」

「人間は如何に生きるべきなのか」

 

そんな哲学的な問いに、町田くんの手を借りながら真剣に向き合う高校生たち(&週刊誌の記者)。

 

人生の早い時期に町田くんのような人に出会ったことは、彼らにとってとてもラッキーな事なんだと思うなぁ。

 

で、答えは何?

 

さて冒頭タイトルの哲学的問題ですが、映画の中での答えは…「わからん」となるのでしょう。

 

恋に目覚め、苦しむ町田くんがお父さんに尋ねます。

 

「お父さんはどうしてお母さんを好きになったの?」

 

それに対してのお父さんの答えが素敵です。 

わかんなかったんだよ。

小さい頃からずっといろんな生き物を観察して研究してきたんだけどな、母さんだけはさっぱりだ。

そしたら嫌でも夢中になるだろ?

だから今も研究を続けてる。

 

これと同じです。わからんのです。

 

哲学的な問いの答えなんて、誰にも分らんのです。わからんから皆夢中になって解こうとする。

 

恋とは何か、なぜ人は恋をするのか、人は如何に生きるべきなのか。

 

そんなん、わかるわけない。

わからんけど、こうかなああかなと考えている、それが良いのだと思います。

 

煩悩の世界へようこそ!

 

静かで美しい世界にいた町田くんですが、猪原さんへの恋に目覚め、煩悩の世界へもがきながらも歩き出そうとします。

 

そして【みんなの町田くん】から【猪原さんだけの町田くん】へ変身しようとしますが、さぁ、どうなりますことやら。

 

映画の最後、学校のプールに落ちる町田くんと猪原さん。

 

今は猪原さんしか見えない、他のものは見えなくなってしまいそうなんだ。それって…それって…いい事なんだよね? …猪原さん、君が好きだ。

 

町田くん、やるじゃないですか。これは殺し文句ですよ。

 

でも、です。

 

猪原さんの立つ場所まで泳いで行こうとする町田くんですが、全然進まんのです。たった5メートルほどの距離が全く縮まらん。

 

なんだか、これからの2人を象徴する様でとっても心配です。

 

人間そんなに簡単に変わるものではないので、猪原さんは町田くんの天使ぶりにやきもきしたり、仕方ないとあきらめたり、いろいろ葛藤があるでしょうね。

 

がんばれ! 猪原さん。

 

まとめ

 

高校生の恋愛ものって、単純に楽しいです。

 

純粋に「恋愛」だけ見られると言いますか、それ以上先を考えなくていいので、見ていて楽なんでしょうね。

 

最後になりましたが、

高校生に見えない前田敦子&高畑充希のお二人、セリフ回しが上手くてさすがです。

特に前田敦子のお姉さん感が良いですねぇ!

 

 

ではまた次回。

本日はお読みいただきまして、ありがとうございました。